実体験が脳神経を活性化させる

私たちはインターネット上に溢れる情報をソースとして日々の会話をすることが多々あります。

仕事の場においてはネット上の情報をもとにサービス設計を組もうとする人がいます。「正解は何か?」「他社の事例は何か?」と、いきなり答えを探ろうとする「正解主義」が蔓延しているように思えます。「正解のない時代」であることを頭でなんとなく理解しているようで、実は理解していないのでしょう。

認知の世界は実体験から生まれ、実体験が多ければ多いほど認知の世界は広がります。実体験を通して多くの「生の情報」が入り、脳神経を広く活性化させます。一方、スマホやテレビから入る文字情報、画像、映像等は人の脳を一度抽象化されたものであり、得られる情報が限られます。こうした人工物では、基本的な神経回路が正しく形成されません。

自分の身体で感じた「第一次情報」は教科書や参考書からは得られません。実体験をしないまま大人になり組織を統率する立場になると、頭の中や机上での判断が増え「現場」を疎かにしてしまう可能性が高まります。

私たちがこどもたちに体験型の学習機会を提供することを目的の一つとして「理科実験」を提供しています。これは上記の「体験から学ぶ」ことができる取り組みだからです。安全性に配慮しつつも、実際ににおいをかぐ、危険な物の取り扱いを学ぶ等、五感を使った学びです。

自然環境に身を置く大切さは今も昔も変わらないはずです。確かに便利になった現代ではあえて不便なことに取り組むことは「無駄」なものとして捉えられがちですが、こどもだけでなく大人になっても学び続けることが求められる現代にあり、私たちは学ぶということの根源的な意味を見直しても良いのではないでしょうか。

引用・参照『Wedge11月号:脳科学の視点で考える 「自然」に触れたり「実体験」する意義(小泉英明氏)』