粘り強さと学力

一般的なイメージとして「粘り強さを持っているこどもは学力が高い」と思う方が多いでしょう。自分のこどもが粘り強さに欠けていると感じると、親としては「HOW」を求め、また粘り強さがスポーツやゲームで発揮されるこどもには、学習面でこそ粘り強さを発揮してほしいものだと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

粘り強さと学力の関係については世界中で研究がされており、粘り強さが学力と関係していることを示すものもあれば、両者に関係がないことを報告するものもあります。しかしながら、あまり強い関係ではないものの、粘り強さと学力の関連は示されているようです。

一つ確実にいえることは、受験勉強など「学力」といわれるものは「暗記・記憶」が中心的な役割を果たし、「暗記・記憶」は容易ではなく、粘り強さが必要だということです。漢字、英単語、公式、歴史の年号、歴史的人物やその人と関連するイベント、元素記号など多くの「暗記・記憶」は忘却との戦いでもあり、何度も何度も繰り返して記憶の定着を図ります。ここには粘り強さが伴います。

こどもと関わる人は、こどもの頑張りを褒めることが大切です。頑張りではなく「結果」を褒めると、結果がうまくいかなかった途端に頑張ることを止める可能性が高くなるでしょう。頑張りを褒めることで、たとえ結果が芳しくなくても、自分は成長し得るという「成長マインドセット」が養われます。
(「成長マインドセット」については、当コラム『成長を書き記す』もご参照ください)

たとえ小さな目標であっても、自分なりの目標設定を持つことができれば、こどもはそこに向かってまず歩み始めます。目標に向かう道中には思うように進まないこともありますが、周囲がその子なりの頑張りを褒め、こども自身が成長できるという成長マインドセットを持ち続けることで粘り強さが身についてくるでしょう。

今回は学力との関わりについて書きましたが、スポーツや趣味の世界において発揮される粘り強さを否定するものではありません。こどもが粘り強さを発揮している領域をまずは大切にしていくと良いと思います。

参照:『10代の脳とうまくつきあう』(森口佑介著 ちくまプリマ―新書)