極端な速読は科学的に不可能

情報量が多い世の中にあり、それらの情報を高速で処理できる能力をつけたいのは誰しもが望むことでしょう。こどもたちの日々の学習においても同様に、一部の入試問題では超長文化される傾向があります。

そこでいわゆる「速読」が注目を集めて久しいのですが、はっきりした効果を実感している方とそうでない方がいるのが現状です。

私たちの脳は文字を読む時に、目から入ってくる情報を認知して言語処理をしており、その処理能力には限界があります。トレーニングによって読む速度を高めることはできますが、あまりに速く読み過ぎることはかえって逆効果になるともいえるのです。

最近の脳科学の研究から、超高速の文字の読解は不可能であることが分かっています。

では、テレビなどで取り上げられる速読の達人はどのように読んでいるのでしょうか。

達人たちは、書かれている文字すべてを目からインプットして読解しているわけではなく、断片的な情報から全体を推測する能力に長けているため、全体を把握しているようにみえるのです。これまでの学習履歴、つまり多くのストーリーを読んだり、様々な知識を身につけることでそうした能力を研ぎ澄ましています。

このように、超速読は魔法であるかのように一般的に思われがちですが、そこには但し書きのような裏付けがあることを皆さまには知っていただき、現代の情報化社会を生きる一つの技術として捉えていただければと思います。

引用・参照『脳を活かすスマホ術』(星友啓 著/朝日新書)