生活体験がこどもの脳を育てる

今年の7月は厳しい暑さを感じる中で突然スコールのように雨が降るなど、気候が不安定な日が続いています。夏休みに入ったこどもたちは、このような気候の変化などどこ吹く風で、僅かな晴れ間を見ては外に出て、おもいっきり汗をかく時間的余裕が与えられています。

夏休みは「睡眠をしっかりとること」を生活の中心に据えて、生活習慣を整えることが重要です。朝早く起きて朝日を浴びた後は、日常ではできない生活体験を積んでほしいものです。ここでの生活体験とは、自然に触れることや好きなジャンルの本を読むこと等です。

生活体験を通して良い刺激を得ることは、こどもの脳を育てる上で欠かせません。
と言いますのは、下図の通りこどもの脳は、実は3歳頃までに大人とほぼ同数のシナプス数にまで発達します。


13-Synaptic density and estimation of total synapse number in human visual cortex. From (Huttenlocher, 1990). 

(グラフ内の●は「シナプス密度」を、〇は「総シナプス数」を表しています)

せっかく脳が発達しているのですから、生活体験を通してこどもが様々なことに興味や関心を高めることが望ましいのです。

こどもは、ペーパーテストという一つのものさしだけでは測ることができない「計り知れない能力」をもっています。コロコロと気移りをしても良いでしょう。面白いと思ったことを毎日一つでも書き記すなどしていくと、夏休みの過ごし方がよりポジティブになるのではないでしょうか。

今日という日の充実感を確かな手ごたえと共に明日を楽しみに就寝する、という過ごし方は、私たち大人にとっても「ありたい姿」です。こどもも大人も一緒に確かな手ごたえを感じながら、暑い夏をポジティブな気持ちで乗り切りましょう。

参照:『眠れなくなるほど面白い脳の話』(茂木健一郎著 日本文芸社)