「入門集中」とは

先日、東京にある学研本社ビルにて青砥瑞人さんからお話を伺ってきました。今回は、その中から「集中力」に関するお話の一部を、青砥さんの著書『4 Focus脳が冴えわたる4つの集中』(KADOKAWA)で解説されている内容と合わせて編集してご紹介します。

秦:「ミスが多い」「集中力がない」といわれているこどもは、脳神経科学の観点ではどのように分析できるのでしょうか。

青砥:「集中ができていない」というのは大人が勝手に決めつけている可能性もありますね。一般的に言われる「集中」は、一点に注意が向き続けている状態を指しますが、脳の観点からはそれが集中のすべてではありません。

秦:一点に注意が向き続けるのが「集中」だと思っていました。

青砥:集中の種類は4象限あります。脳には大きく分けて4つの集中のモードがあり、それぞれの活用法と高め方には違いがあります。ご質問内容の「集中」は、著書『4 Focus脳が冴えわたる4つの集中』で説明した「入門集中」にあたります。この「入門集中」とは、仕事や勉強、新しい情報を取り込もうと集中する状態のことです。意識が「外に、狭く」集中している状態です。

秦:中央実行系がはたらいている「集中」ですね。

青砥:「集中力」を考える時に、一般的には「入門集中」のイメージが強く、それに囚われてしまうとあなたの脳が持つポテンシャルを十分に引き出せない可能性があります。こどもたちがボーっとしたり、注意散漫に見えたりすることは「入門集中」以外の集中モードに入っている可能性があります。例えば、バスケットボールやサッカーなどのスポーツでは、ボールだけを見て集中しているわけではなく、全体視、俯瞰視することもとても大切です。これは「外に、広く」の「俯瞰集中」の状態です。

秦:「一点に集中するモード」と「その他のモード」を周囲がまず理解することが大切ですね。

青砥:こどもが何かを始めたと思ったらすぐに違うことをやり始めたりしますね。一見すると集中していないようですが、これはドーパミンが出ている状態で、非常に大事なことです。ドーパミンを出すことは圧倒的な集中力と学習効果をもたらします。その子の興味が自分自身の記憶を作り、自分を作っていきます。

当教育コラムのまとめ:大人がこどもに求めがちなのは「入門集中」であり、周囲の大人が「その他の集中」を知ることはこどもの可能性を広げるきっかけとなるでしょう。詳しくは別の機会にご紹介をします。こどもの「入門集中」を高めるうえで私たちなりのアドバイスにご興味をお持ちの方は弊社までお問い合わせください。

応用神経科学者で弊社教育アドバイザーの青砥瑞人さんと弊社代表取締役の秦 @学研本社ビル