数学的な理解に「指」が重要

こどもが指を使って数を数えていることを幼稚なことであると印象づけたり、やめるよう促すことが教育の現場で起こっているようですが、実は、幼いこどものうちに指に対応する脳領域を発達させることが重要だという研究が進んでいます。

個々の指の感覚を正確につかみ、指の認識をチェックするテストから、以下の興味深い事実が明らかになっています。

・大学生の指の知覚度により、計算テストの点数が予測できる
・小学1年生の指の知覚テストは、算数テストを行うよりも正確に2年次の算数の成績を予測する
・音楽家が算数を得意とする傾向にあるのは、訓練によって指の知覚が発達しているためだと近年わかってきている

「指の認識をチェックするテスト」とは、本やテーブルの下に一方の手を隠して、別の人に指に触れてもらうというもので、指の知覚が良い人は触れられている指を簡単に識別できるとのことです。さらに難易度の高いテストでは、指先と指の中央の2箇所を触ってもらうというものです。

幼い時から指を使って数字を数えることが効果的で、ある程度こどもが大きくなっても指を使って理解しているうちは使わせることが望ましいと私たちも研修などでお伝えしています。

脳神経科学の研究が進むにつれこうしてわかってきたことを教育の現場に落とし込むことも大切なことだと考えます。

引用:「無敵」のマインドセット(スタンフォード大学教育学部教授ジョー・ボアラー著、ハーパーコリンズ・ジャパン)