算数の文章題とワーキングメモリ②

前回に続き「算数の文章題とワーキングメモリ」について解説をします。


前回は、文章題にかかれている内容を正しく理解して必要な情報を抽出する際にワーキングメモリが関わっていることを述べましたが、そのうえで算数の文章題を解く際には「複数の情報や条件を組み合わせる」という処理も加わります。

そして、「複数の情報や条件を組み合わせる」にあたり、やはりそれらの情報や条件を一時的に記憶として保持して統合することが必要となります。さらに、順序良く整理するという処理を行うため、ワーキングメモリが使われます。

順序良く整理ができることで、下記の問題において「14-7=7」といった誤答を防ぐことができます。

【列の並び順問題(順番)】
子どもが14人、1れつにならんでいます。ことねさんの前に7人います。
ことねさんの後ろには、何人いますか。


この問題は小学1年生の問題にもかかわらず、小学3年生の正答率が28.1%という調査結果が出ています。

普段からワーキングメモリに働きかけるトレーニングに取り組むことが重要であることがお分かりいただけるかと思います。算数の文章題が解けるようになるためにワーキングメモリを使うという視点もありますが、「ワーキングメモリに働きかけるトレーニングにより、結果として文章題にも対応する」という方が私たちの考え方に近い表現です。これは読解力においても同様です。

テストの点数が高いこどもであっても、意味の理解や正しい処理が行われているかをしっかりと確認することが大切です。