271. スキーマの構築
「スキーマ」とは「物事を理解するための枠組みやパターン」のことで、過去の経験や知識に基づいて形成されます。
私たちは様々な経験や体験を通して物事を理解してきました。そして新しい情報を得る際には、既に持っているスキーマを修正しながら物事への理解を深めるという作業を脳内で行っており、絶えずスキーマに照らして意味付けを行っているといえます。スキーマがないジャンルのことは理解が難しいのです。
知識として断片的に知っていることを枠組みやパターンで理解するにはスキーマが必要です。特に子どもは新たに知ることが多いため、スキーマを構築、更新し続けています。周囲の大人が注意しなければならないのは、子どもは具体的な経験によりスキーマを作るため、「数」や「単位」などの抽象的な概念に関しての理解が曖昧になるケースがあるということです。
スキーマが正しく構築されないまま時間が経つと、学年が上がった際の算数の学習などにおいてつまずく可能性が高くなります。「AさんのテープはBさんの4倍で48cmです。Bさんのテープは何cmですか」という問いに対して、引き算をして「44cm」と答える子どもがいます。正解は12cmですが、この子どもは「数を小さくするときには引き算をする」という思い込みだけで解いてしまっている可能性が高く、数の概念に関するスキーマが十分に構築されていないことが要因として考えられます。
学習の土台となる「スキーマ」を構築するためには、幼少期に具体物を使って学ぶことや読書活動をお勧めします。子どもが文章題を解く際の途中式を見て、子どもが理解できているかが気になる際には、スキーマの構築にじっくりと時間をかけるような復習法が適しています。
<引用・参照>
Wedge12月号『「暗記中心」中学受験の盲点 子どもの思考力をもっと育もう」(今井むつみ)
「読書する脳」(毛内拡, SB新書)
#教育コラム271

