265. 「読める」と「わかる」の壁③

「読める」と「わかる」の壁への支援策として、生徒の「負荷を下げて力を伸ばす」教室でできる例をご紹介します。

まず、各段落の要点を1行にまとめることが挙げられます。ある段落を「誰が、何を、なぜまたはどのように」でまとめることや、接続詞、指示語、対比語に印をつけて、文と文の関係性を可視化することも読解力の基盤をつくる効果的な働きかけです。このような働きかけを通して、文章全体を理解できたか否かをこどもに問いかけることはメタ認知を促進することにもつながります。

「本はたくさん読めば自然と伸びる」といった主張がありますが、私たちはそれに加えて上記の「文の構造をつかむ練習」が伴ってこそ読む力、理解力が高まると考えています。また、語彙については、知識量だけではなく文脈で使える活用力が読解力の基盤作りに生きると考えています。語彙学習については当コラムで何度か記事を書いていますのでご参照ください。(コラムの検索ワードに「語彙」とご入力いただくと該当の記事が表示されます。)

ご家庭では、教科書を使って以下をチェックしていただき、2つ以上において困難な様子が見られる場合は、上記の例やワーキングメモリに働きかけるトレーニングに取り組んでいただくことをお勧めします。

・段落ごとの要約が1行にまとめることができる
・接続詞の働きを説明できる(しかし=逆説、つまり=要約など)
・代名詞が何を指すか、根拠を本文から示すことができる
・因果関係や対比関係を図や表にまとめることができる
・自分がわからないことを言語化して説明することができる

これまで3回にわたり解説をしてきました。大人が、「どこで、どのように詰まっているのか」に気づき、適切なはたらきかけ、支援をすることでこどもの「わかる」が底上げされます。


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