262.読解力の土台となる「語彙とワーキングメモリ」

読解力は「ことばの材料(語彙)」と「頭の作業台(ワーキングメモリ)」のかけ算で伸びます。ことばの材料が増え、作業台が整うほど、子どもは行間をつなぎ、意味を組み立てる力を身につけることができるからです。ここで重要なことは、どちらか一方に偏ることなく、双方を伸ばすトレーニングをすることです。どちらかが弱いと、もう一方が高くても伸びにくいのです。

「行間を読む力」を例にとると、語彙が不足すると手がかりが拾えず、ワーキングメモリが弱いと拾った手がかりを文脈内で保持・統合できません。複数の研究で、語彙とワーキングメモリはいずれも相互に影響することが示されており、どちらか一方の強化だけでは読解力の向上に限界があります。語彙は文脈の手がかりを使って推測したり、指示語や比喩をつなげたりする際の意味の素材です。語彙が豊かだと、文章の理解が進みやすい傾向にあります。

また、ワーキングメモリの働きとして、情報の記憶、保持、統合だけでなく、意味の更新、推論の統合などの面での働きが成績を左右するということが報告されています。

弊社の「よみタス」「よみトク」、また、弊社が監修している学研の「ことばパーク」で生徒の読解力が向上している裏付けには、この双方への継続的な働きかけが多分に寄与しています。当コラムで以前にご紹介した「記憶力が高まる「リトリーバル復習法」とは」もあらためてご参照いただき、保護者様や先生方が「より高い学習効果」を図る指導の際の一案としてぜひご活用ください。


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