260. ゲーム依存とワーキングメモリ
「気づけば何時間もゲームをし続けている」「宿題よりゲームを優先している」「ゲームをやめる約束を守れない」こうした背景には、ワーキングメモリと報酬系(ドーパミン)の関係が潜んでいると考えられます。
ワーキングメモリは「一時的に情報を保ちながら処理する力」のことで、多くの学習場面で土台になります。ゲームは、素早い判断や状況把握などでワーキングメモリを頻繁に使いますが、ゲーム内で使えることが学習へ直結するわけではありません。
ゲーム内には細部に至るまで様々な工夫がなされています。「即時報酬の連続」は、小さな成功・報酬音・ランクアップが短い間隔で続くことです。また、「予測とサプライズ」とは、次のご褒美が「読めない」こと自体が刺激になるということです。他にも多くの工夫がありますが、これらがワーキングメモリの容量を埋めることでゲームを終わった直後であっても思考がゲームに引っ張られるということが起こります。
「さぁ、ゲームが終わったから今すぐ宿題に切り替えよう」となれば良いのですが、そうはいきません。これは、ブレーキの効かない自転車で坂を下るようなものです。
依存傾向のサインの一例を記します。
・約束の終了時刻を週に3回以上守ることができない
・就寝が30分以上遅れる日が続き、朝の起床が困難である
・ゲーム制限を持ち出すと、強い怒りや隠蔽が出ることがある
・宿題や日常生活における準備の先延ばしが慢性化している
・ゲームをしていないのに頭がゲームのことでいっぱいになっている
次回は、家庭で取り組むことができる実践例をご紹介します。
#教育コラム260