214.良質な集中力トレーニング

<引用・参照>
日本経済新聞『今を読み解く』(茂木健一郎)2024.6.8

大人も子どももスマホを持つ時代となり、私たちは「絶え間ない中断」と戦っています。私たちの仕事中は、様々な通知音によりパソコンの画面から絶えず呼び出され続け、一つのタスクに集中することが難しくなっています。また、仕事終わりに一息つこうと「なんとなく」スマホを開けばSNS等を通してやってくる情報により集中が分散されています。

これらの情報は神経伝達物質のドーパミンが介在する報酬系を刺激しますので、目の前の課題に集中することを妨げているのです。何かに没頭している時の脳活動を見ると、平時に比べて活性化している領域は絞られており、いま取り組んでいる課題に関係する回路以外を抑制することで集中力が実現します。注意散漫になりがちな現代人にとって、何かを断つことは集中力を高める手段として有効です。

良質な集中力のトレーニングとしては読書が有効です。まとまった文章に接することで脳は活動の「引き算」のコツをつかむと言われています。「引き算」とは何かを断つことです。脳の前頭葉にある集中力に関わる回路を機能させるうえで生活に読書を取り入れるのは良い習慣となりそうです。集中力のトレーニングという言葉を使いましたが、訓練というより習慣づけという意味で日常生活に取り入れてはいかがでしょうか。


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