好奇心と幸福感

こちらは、unicefの報告書「レポートカード16」にある、先進国の子どもの幸福度(2020年9月)に関するグラフです。

このような調査結果に触れるたびに、私たち大人の責任を感じてしまいます。

まず、脳科学の見地からは、学習に限らず「好奇心を大切にする環境」が大切です。
好奇心が強い方が、読み書きや計算能力が高くなり、全体の成績も高くなり、
さらにはポジティブな性格で生きがいや希望を持ちやすいことが分かっています。

それは、私たちが何かに興味を持ったり新しいものを知りたいと思った時に、
「ドーパミン」と呼ばれる物質が脳内で分泌されるからで、私たちが「幸せだなあ」「気持ちがいいなあ」と感じている時に分泌されます。このドーパミンにより、ワーキングメモリや海馬(かいば:記憶の定着に関わる脳の部分)を活性化させることもわかっており、好奇心、集中力や記憶力がアップします。

電車好きな子は、電車に関して多くの時間を費やして、電車に関するたくさんの知識を持っています。
電車の本を読んだりDVDを見る間はとても集中しています。

子どもの多くは自分の好きなことややりたいこと、やってみたいことがあり(好奇心)、それらにじっくり浸ることが幸福感につながります。この時間を奪うことは、幸福感を奪うことと同義ではないでしょうか。

そこで、学習面では、好きなことを起点とした、好きなことを活かした学び方をしていくと良いと考えます。先程挙げた電車の例では、文字を覚える時に電車になぞらえて身につける方が効果的でしょう。
例)「は」は「はやぶさ」の「は」、「こ」は「こまち」の「こ」、「ド」は「ドクターイエロー」の「ド」等

私たち大人が、子どもひとりひとりの好奇心を大切にして、子どもが幸福感をおぼえる時間が増えれば増えるほど、冒頭に示したグラフとは別の形になっていくものと願っています。

参照:「子どもの考える力を伸ばす教科書」(星友啓著 大和書房)