漢字の「読み」と「書き」

『教室の中のワーキングメモリ』(河村暁、明治図書)には、
漢字の「読み」と「書き」について以下のようにわかりやすく解説されています。
(一部表現を変えています)

日常生活や学習の中では様々な種類の情報を一時的に記憶することが繰り返されています。
その際には言葉にしたり絵のようなイメージにしたりします。

・言葉について覚えるのは「言語領域」
・形や位置について覚えるのは「視空間領域」と呼ばれています。

様々な学習の中にも「言語領域」と「視空間領域」が含まれており、
漢字の学習を例にしますと、

漢字の「読み」学習では、

「船」という字形(視空間領域)に対して、
「ふね」という音(言語領域)を結び付けて覚えます。


算数では、

「□」という形(視空間領域)に対して、
「せいほうけい」という音(言語領域)を結び付けて覚えます。


上記の「言語領域」と「視空間領域」は、脳のワーキングメモリの特性として分けられます。

漢字の学習においては、

・ワーキングメモリの言語領域が弱い子どもは漢字の「読み」学習
・ワーキングメモリの視空間領域が弱い子どもは漢字の「書き」学習

に困難を示すことがあります。
なお、漢字が読めない子どもは書きも困難です。

このようにワーキングメモリの特性を大人が把握することは、
子どもの学習においてとても大切なことです。

なお、この「言語領域」「視空間領域」を測ることができる
簡易版HUCRoW(フクロウ)」というアセスメントがあります。
広島大学大学院教授の湯澤正通先生が開発され、現在は同氏が代表理事を務めている
一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会が運営をしています。