《習慣化#024》
最小行動の力

-フォッグ行動モデル-

習慣化は「長く・たくさん」やるほど身につくわけではありません。むしろ入口が小さいほど脳も体も動きやすくなります。

行動科学の世界では、行動は「能力(Ability)×モチベーション(Motivation)×トリガー(Trigger)」の掛け算で起こると考えられています。

これは「フォッグ行動モデル(Fogg Behavior Model)と呼ばれており、3つが同時に存在することが重要です。「能力(Ability)」とは、行動を実行するための容易さや実行可能性を示します。行動が簡単であればあるほど、実行される可能性が高まります。

モチベーション(Motivation)」とは、行動を起こすための動機や欲求の強さのことで、モチベーションが高いほど、行動を起こしやすくなります。「トリガー(Trigger)」とは、行動を促すきっかけや刺激です。トリガーがなければ、たとえモチベーションが高く、能力があっても行動は起こりません

モチベーションが低い時には、「能力」を下げた「取り組みやすい内容」に変更して、行動のしやすさを優先させると良いでしょう。たとえば、ジョギングをする予定だったがモチベーションが上がらないという時は、切り替えて「かかと上げを3回」程度にまで行動しやすくすると良いでしょう。

脳の作業台ともいえるワーキングメモリは、何かしらの着手のたびに段取り等でいっぱいになりがちです。上述の「最小行動」により、この作業台を散らかすことなく「とりあえず始めること」を可能にします。

散歩を習慣にしたい人は、玄関に帽子を出しっぱなしにして「帰宅したら帽子をかぶる」だけを約束にすることで、帽子をかぶれば一歩出やすくなります。もし散歩に出ることができない日があったとしても、帽子をかぶることまでできたならカレンダーに印をつけましょう。証拠が積み上がるほど自己効力感が育ち、モチベーションは後から追いついてきます。

なお、この「最小行動」は「トリガー」とセットにすると安定します。かならず通る動作に重ねるのがコツです。歯みがきの時に「かかと上げを3回する」のように、最小の一手だけ決めて、できたら小さく自分をほめるという循環を作りましょう。

大切なのは、最小行動を「恥ずかしいほど小さく設計する勇気」です。脳と身体の健康は、壮大な決意よりも「今日の1分」に宿ると言っても過言ではありません。