《習慣化#023》
習慣は「場所」が作る

-環境キューとコンテキスト-

行動を変えるには、意志の強弱よりも「場所・環境」がカギとなります。私たちの記憶と注意は周囲の手がかりと強く結びついています。これを心理学では文脈依存記憶(context-dependent memory)といいます。つまり、行動を変えたいなら、まず環境を変えることが脳と身体の健康習慣を育てる近道となります。

朝のルーティンを例にとりましょう。起床直後に床の上に小さなヨガマットを敷きっぱなしにしておくと、「立って、身体を伸ばす」が自動的につながります。このように、動線に置かれた物たちが「環境キュー」となり、体が先に動きます。

因みに、「キュー」とは「データを格納・取り出す際の順序が決まっている基本的なデータ構造の一つ」です。データ処理の順序のように皆さまの行動と環境を設計するという意味で「環境キュー」と表現しています。

仕事の際の集中力を高める環境も同様です。机の上にはメモ、時計、ペンの3点のみを並べ、他の物は視界から退けます。またパソコンのブラウザ上には作業用のウィンドウ1つに絞ります。

脳の作業台(ワーキングメモリ)は散らかるほど性能が落ちるため、物理的な削減が最良の助っ人になります。仕事に着手する合図として、椅子を引く前に立位で肩回し10秒をセットにすると、姿勢と呼吸が整い、思考の立ち上がりが速くなります。ここまでが「仕事モードの場所」の設計です。

就業後は「切り替えの場所」を用意しましょう。自宅玄関の靴ベラの横に散歩用のキャップを置くことで、散歩に出るという行動を促します。冷蔵庫に運動ポーズの図を貼っておくことで料理前、または料理中に簡単な運動を促します。このようにコンテキスト(前後の文脈)が行動を先導します。

うまくいかないときは、やる気の問題にせず「場所の再設計」を楽しみましょう。マットの位置を入口側から窓側へ、散歩用のキャップを玄関外のフックへ置くなど、小さな変更でも手がかりは強くなります。週に一度、家の中を一周して「健康のための合図が目に入る順に並んでいるか」を点検してみましょう。何度か試しているうちに、皆さまの継続を促す心地よい環境がきっと見つかるはずです。

脳(アタマ)と身体(カラダ)の健康を目指して、皆さまがどのような工夫しているのかを共有する場を設けてみたいですね。